化粧品の防腐剤「パラベン」って悪者?
化粧品の成分にパラベンの文字を見たことのある方は多いでしょう。
パラベンは化粧品の防腐剤として最もよく使用されている添加物です。
食品・医薬品にも使用されています。
パラベンフリー、パラベン不使用だと、何だかナチュラルで肌に良さそう。
そんなイメージあります。
人によっては「パラベン=悪者」と思っているかもしれません。
添加物である防腐剤、必要なければないにこしたことはないですよね。
でも入っている。
なぜ?
化粧品が腐ったり、カビが生えるを防ぐためです。
化粧品は未開封の状態で3年以上品質を保てるよう、法律で義務づけられています。
法律を守ろうと思えば、防腐剤は必要になるというわけです。
では「パラベンフリー」の化粧品は法律違反なのでしょうか?
いいえ、「パラベンフリー」だから法律違反だとは限りません。
パラベンフリーの商品は↓
(1)パラベン以外の防腐剤を使用している
(2)抗菌作用のある「隠れ防腐剤」使用している
(3)腐らない成分の化粧品だから
(1)パラベン以外の防腐剤を使用している
化粧品に使用される防腐剤はパラベンだけではありません。
安息香酸Na、ヒノキチオールなど、国が規定している防腐剤は他にもあります。
安息香酸Naは清涼飲料水や栄養ドリンク、食品にも使用されているのですが、毒性は強いです。
2006年には清涼飲料水に添加されていた安息香酸がビタミンCと反応してベンゼンが生成され、製品回収されるという騒ぎがありました。
ベンゼンは発がん性があると言われています。
ベンゼンは、築地市場から豊洲市場への移転の際、多く検出され大問題になった事で有名ですね。
ヒノキチオールは自然系の化粧品に使用されたりしますが、パラベンよりもずっと刺激が強いため、使用濃度は低く規正されています。
パラベンは毒性も低く、アレルギーを起こすことも稀です。 世間ではイメージ悪くても、実は防腐剤の中では安全性の高い成分である、と業界の中では位置づけられています。
(2)抗菌作用のある「隠れ防腐剤」使用している
防腐剤とは、国が防腐剤として指定したもののみが「防腐剤」とされます。
防腐作用・抗菌作用があっても、そのリストになければ「防腐剤」にはなりません。
BG(ブチレングリコール)、ペンチレングリコールなども保湿剤として使用されていますが抗菌作用があります。
日々増えていく化粧品の新しい原料。
防腐剤の作用のある新しい成分もどんどん生まれています。
防腐作用があるにもかかわらず、表示義務がない「防腐剤」であれば「防腐剤フリー」をうたえます。 配合量の制限もありません。
にもかかわらず、安全性の確認、長期使用による影響の研究もなされていないのが現状。
防腐剤フリーにはそんなからくりもあります。
(3)腐らない成分の化粧品だから
化粧品が腐らない成分でできている場合は防腐剤は必要ありません。
防腐剤無添加、防腐剤フリーでOKです。
敏感肌用、アトピー用のものに多いのですが、ポリマーが主成分の化粧品は腐敗しません。
防腐剤無添加、防腐剤フリーと書いてある商品はこのポリマータイプになります。
ただ、腐敗しないということは、微生物による分解ができないということ。
分解できないということは皮脂の代わりはつとまらないので、お肌の常在菌を養うことはできません。
参考記事:あなたの肌の「美肌菌」生きてる?
このタイプの化粧品は、敏感肌やアトピーの方のための苦肉の策ともいえるので、そうでない方の使用はおすすめしません。
まとめ
まとめると、「パラベンフリー=防腐剤フリー」というわけではないということ。
現在の技術では、肌の健康を守る、肌の役に立つ化粧品を作ろうと思えば、防腐剤はどうしても必要になってしまうということ。
そうすると、単純に「パラベン=悪者」として攻撃することはできないということなんです。
防腐剤がどうしても必要なのであれば、化粧品メーカーにはより安全なもの、より安全な使い方を、とお願いしたいですね。